トレーナーの古賀です。
今回は「ポジティブ」と「ネガティブ」の話です。
…といっても、性格の話ではありません、筋肉の話です。
筋肉の「ポジティブ」と「ネガティブ」を理解しているか否かでトレーニングの質はかなり差が出ます。
結論からいうと、「トレーニングにおいてネガティブはものすごく大事!!」です。
なぜネガティブであることが重要なのか、以下で解説していきます。
筋肉のポジティブとネガティブとは
筋肉のポジティブとネガティブとは、収縮様式のことをいいます。
筋肉が縮んでいる(短縮している)ときを「ポジティブ(短縮性収縮)」、伸びている(伸張している)ときを「ネガティブ(伸張性収縮)」といいます。
人間の動き=関節運動とはこの筋肉の収縮により成り立っています。
例えば、肘を曲げて力こぶを作る動作では上腕二頭筋が短縮することで前腕の骨を曲げる形になります。
逆に肘を伸ばす動作では上腕二頭筋が伸張することで動作が成り立ちます。
(※実際はもっと多くの筋肉、骨が作用していますが今回は割愛します)
関節運動における筋肉の拮抗関係
例に挙げた肘の曲げ伸ばしは上腕二頭筋だけでなく、上腕三頭筋も深く関与します。上腕三頭筋は肘を曲げたときに伸びて肘を伸ばした時に縮む、というように上腕二頭筋と反対の作用を持っています。
これは上腕二頭筋と上腕三頭筋が拮抗関係にあるからで、これを相反性神経支配(または相反性抑制)といいます。
要は表と裏、内と外といった相対する筋肉は逆の収縮様式で関節運動を起こす、ということです。これも知っていると筋トレやストレッチがかなり捗ります。
ここで注意点があります。
例えば肘の曲げ伸ばしで「アームカール」という種目があります。
肘を曲げて重りを持ち上げ主に上腕二頭筋を強化する種目なのですが、動作中に上腕三頭筋も稼働するのは先ほど説明した通りです。
では、この種目で上腕三頭筋を強化できるか?
答えとしては上腕三頭筋についてはトレーニング効果はほぼないといえます。
これはアームカールのポジションでは上腕三頭筋に対して十分な過負荷が与えることが出来ないためです。
これが例えば肘を頭上に持ってきて曲げ伸ばしを行うと負荷が上腕三頭筋に乗り、上腕二頭筋の負荷が抜けるということになります。
このようにトレーニングにおいては同じ関節運動でもどのような角度から負荷をかけるのかといった視点も重要です。
ネガティブ局面が及ぼす影響
さて、冒頭でトレーニングにはネガティブが重要だとお話ししましたが、その理由は以下の通りです
ポジティブの局面より強い筋力を発揮できる
ネガティブな動作はポジティブ収縮より約2割から3割ほど高い筋力を出力できるといわれています。例えばベンチプレスだと、もう挙がらないという負荷でも下ろす局面はしっかり耐えられるということがあります。ペンチプレスは重りを下ろす局面が主働筋のネガティブ動作になるためしっかり耐えられるということです。
もう無理!という限界の状況でも下ろす筋力は残っているのでそこを攻めるトレーニング法(フォースドレップ法、ネガティブオンリートレーニングなど)もあったりします。
ネガティブな動作は筋肉へのダメージが大きい
ネガティブな動作は筋肉を引き延ばしながら力を発揮する局面なのですが、それが筋線維をかなり傷つけやすい負荷となります。
筋肉は損傷することで筋肥大を誘発するのでトレーニング効果をより高める重要な刺激となります。
したがってネガティブなトレーニングはボディメイクにおけるとても重要な刺激なのですが、実際のトレーニングでは楽をしやすい局面でもあったりします。(ベンチプレスやスクワットで重りを下ろす時に力を抜いてる人はこれに該当します。)
動作中は最後まで対象の筋肉を意識したままトレーニングを行うようにしましょう。
まとめ
ただし、ネガティブな負荷は効果的な分ダメージが大きいので筋肉痛が出やすかったり、疲労が抜けにくいといった側面もあります。
トレーニングスケジュールに留意しながらプログラミングしていくことも重要になります。
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