骨盤のゆがみから考える姿勢改善の基礎

トレーナーの古賀です。

たまにですが、お客様から「骨盤が歪んでいる」というお悩みを相談されることがあります。

しかし話を聞いてみると骨盤の歪みという症状に対し、漠然としたイメージしか持っておらず、実際のところ骨盤がどういう状態にあって症状が出ているのか、ということまで認識している方は少ないように思えます。

今回は骨盤についてお話していきます。

目次

骨盤の構造と機能

骨盤とは仙骨・寛骨・尾骨によって構成されています。なお、寛骨とは腸骨・恥骨・座骨の集合体になります。それぞれの骨は下図のように仙腸関節と恥骨結合で組み合わさるという形になります。仙腸関節は仙骨と腸骨の間で組み合わさり、恥骨結合は左右の恥骨で組み合わさります。ともに強力な靱帯で構成されていて、可動性よりも安定性を重視した構造になっています。

骨盤のゆがみとは

例えば骨盤の左右の高さが違う、前後でねじれている、開き方に左右差があるなどといった症状がいわゆる骨盤のゆがみといわれている症状で主に仙腸関節を軸とした運動機能障害といえると思います。先ほど触れましたが仙腸関節は強力な靱帯で守られているため、関節自体が変形したりすることはほとんどないと言われています。

ではどうして骨盤はゆがんでしまうのでしょうか?

その原因は骨盤に付着する様々な筋肉にあります。

骨に付着する筋肉は基本的に2つ以上の筋肉で拮抗関係を保ちます。

例えばひじの曲げ伸ばしは主に上腕二頭筋が曲げる力を、上腕三頭筋が伸ばす力を発揮します。この筋肉が拮抗することで肘は安定を保つのですが、昨今では長時間のデスクワークなど肘を曲げる時間のほうが長くなり、上腕二頭筋のほうが強くなる(過緊張状態となる)人が多くいます。そうなると肘は常に曲がり気味になるのですが、これと同じことが骨盤でも起こっているということです。

骨盤は関連する筋肉が多い分、様々な方向へ引っ張られる可能性のある部位になります。

よく見かける例としては「前傾位」と「後傾位」です。

前傾位とは本来あるべき骨盤の正常なポジションに対し前方にお辞儀した状態、後傾位は後ろに寝た状態を表します。

このように傾いてしまう要因は様々で一概には言えませんが、一般的には以下のような筋肉の状態により傾いてしまうと考えることができます。

修正アプローチとしての基本的な考え方は固くなった筋肉を緩め、弱くなった筋肉を鍛えることです。マッサージなど緩めるだけの方法だと、弱くなった筋肉への介入が不足し、せっかく柔らかくなった筋肉がまた固くなってしまうということを繰り返してしまう可能性があります。

姿勢の修正はトレーニングとケアの両面から取り組むということがまず大事になりますので、ぜひ知っておいてください。

骨盤のゆがみは評価が大切

骨盤の前後傾を例に歪みについて簡単に説明させていただきました。

実際の骨盤の歪みは前後傾だけでなく回旋、捻転、挙上、下制など様々な方向に発生するため、まずは自身の体に何が起こっているのかを知ることが重要になります。

そのうえでその歪みを発生させている要因は何なのかを考えていきます。

先ほど説明した通り、筋肉の強弱により歪みは発生するわけですが、そもそもなぜ強弱が発生してしまったのか、ここまで考えていかないと思うような運動効果は得られない場合もあります。

やみくもに運動する、マッサージをするだけでなく、発生機序を想像しながら改善を図るのが大切です。

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この記事を書いた人

古賀大介
健康な身体を目指したダイエット、姿勢や関節痛の改善およびゴルフやサッカーなどの運動パフォーマンスアップを目指すトレーニング指導を主に担当

【主な保有資格】
NSCA-CPT (全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)
CSCS(全米ストレングス&コンディショニング協会認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)

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