腰痛と運動療法

トレーニングを始めるにあたって、ご要望のうちの一つに「腰痛の改善」があります。

腰痛はもはや国民病ともいえるほど日本人には身近な疾患で、最近では大人だけでなく子供の罹患者も少なくないとニュースでも見たことがあります。

今回は腰痛改善のための運動のポイントについてお話させていただきます。

目次

腰痛の種類

腰痛は主に「特異的腰痛」と「非特異的腰痛」の二つに分けられます。

特異的腰痛とはレントゲンなどの画像検査により痛みの原因がはっきりと特定できる腰痛のことであり、「椎間板ヘルニア」、「脊柱管狭窄症」、「すべり症」などの症状が該当します。

一方、非特異的腰痛は画像検査ではっきりとして原因がわからない腰痛のことで、「ぎっくり腰」などもこの症状に該当します。

発生割合としては非特異的腰痛が全体の80%以上を占めているといわれています。原因がはっきりしない分、対応があいまいになることで長期間悩まされるということになるケースも多いようです。

非特異的腰痛のほとんどは筋肉の不調からくるものなので、痛みの特徴や発生のきっかけとなった生活動作なども踏まえた運動療法により改善を期待することができます。

運動の考え方

筋肉の不調とは主に「骨や動作を支えるだけの筋力がない筋力がない」「動きに必要な柔軟性がない」「必要な筋肉をうまく使えない」このようなパターンです。これらの要素により腰部の特定の個所にストレスが集中し痛みとして発現します。

したがって「筋力をつけて」「柔軟性を確保し」「適切な動作ができる」ようになれば腰痛改善が見えてきます。

筋力や柔軟性の問題点は日常の姿勢から推測できます。

例えば、反り腰(骨盤前傾位)の人は太ももの前方、腰部の柔軟性が少なく、お尻や太ももの裏、腹筋の筋力が弱くなる傾向にあります。逆に猫背(骨盤後傾位)、お尻や太ももの裏、腹筋の柔軟性が少なく、太ももの前方、腰部の筋力が弱くなる傾向にあります。

このような特徴を踏まえてどの部分を鍛えるか、あるいはストレッチをするかを判断してみましょう。

必要な筋肉をうまく使えない状況は動作の際に筋肉を意識しながら動かすことで訓練していきます。その際はなるべくターゲットとする筋肉だけが動員できるような種目がお勧めです。(動きが大きいと関与する筋肉が増えるためターゲットとする筋肉を意識しづらくなる)

筋力と柔軟性の問題がクリアできるとそれだけで使いやすくなる場合があるので、思うように意識して動作ができない場合はまずそこからアプローチしてみましょう。

運動実施における注意点

腰痛は動作する方向によって痛みの有無が分かれる場合があります。

例えば前屈したときは痛みが出るけど、後屈したときは痛くない、といった感じです。

腰痛に対しては「腹筋を鍛えろ」と言われることが多いようですが、それにしたがって「クランチ」や「シットアップ」のような体を前方に倒すような動作を伴う種目を選択すると今回のようなケースでは症状を悪化させる恐れがあります。

このようなケースでは「ダイアゴナル」や「プランク」のような等尺性収縮(筋肉の長さが変わらず力を発揮する筋肉の使い方)を伴う種目から始めて行くとよいでしょう。

腰痛を治すには運動が重要!ということは認知されてきている印象ですが、どういう運動をすれば改善されるのかといったことは症状によって変わります。

症状に合わせて必要なトレーニングを選択・実行できるようにしましょう。

心因性腰痛

心因性腰痛とは精神的な不調が原因となる腰痛のことで長期的な精神的ストレスが、脳の痛みを抑制するシステムに異常を起こし、必要以上の痛みを身体に与えるようになってしまう症状になります。悪化すると痛みに対する不安感の増大や破局的な思考を持つようになりうつ状態へと陥ってしまう場合もあります。

心因性腰痛改善のポイントは疼痛の認知と行動にあります。まずは自分に生じている痛みは何によるものなのか理解することで不安や恐怖を軽減します。そして痛みが出ない範囲で全身の機能を向上させるような運動を実施していきます。

無理なく自分でできる範囲のことからゆっくり始めていくことがポイントです。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

古賀大介
健康な身体を目指したダイエット、姿勢や関節痛の改善およびゴルフやサッカーなどの運動パフォーマンスアップを目指すトレーニング指導を主に担当

【主な保有資格】
NSCA-CPT (全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)
CSCS(全米ストレングス&コンディショニング協会認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)

コメント

コメントする

目次
閉じる