トレーナーの古賀です。
スポーツ科学は現在進行形で日々新しくなっており、これまで常識とされていたことが急に否定され、新たな常識が生まれるということもそんなに珍しいことではありません。
代表的なものとしては運動中の水分補給などがそうです。
以前は運動中に水を飲むとバテてパフォーマンスが低下するなどといった理由で運動中の水分補給は厳禁みたいな風潮でしたが、現在ではむしろパフォーマンスを維持、向上させるのには必須だし、熱中症の予防など様々な理由からむしろ推奨されるようになっています。
さて、今回は乳酸についてお話させていただくのですが、乳酸というとどのようなイメージがあるでしょうか?例えば山登りなどの運動中に「乳酸が溜まってきたぁ!!」なんてことを言ったことがある人も多いのではないでしょうか?
このような経験から乳酸を「疲労をもたらすもの」ととらえている方もいるかと思います。実際数年前まではスポーツ科学の分野でもそのように考えられてきました。
しかし、近年では乳酸は疲労発生物質ではないと考えが改まっています。
乳酸とは何かを知り、うまく活用できるようになりましょう。
乳酸とはなにか
乳酸は筋肉が活動する際に利用される糖(グルコース、グリコーゲン)がエネルギー(ATP)になる際に発生する代謝物質です。発生した乳酸はミトコンドリアに送られエネルギーに変換されます。つまり、実際のところ乳酸は疲労物質とは真逆のエネルギー産生物質であるということです。
乳酸が疲労物質として認知されていた理由は、疲労状態の血液を測定した際に乳酸が大量発生していたことによるそうですが、現在ではエネルギー代謝の過程で発生した水素イオンにより筋肉が動かなくなるという風にとらえられています。したがって「乳酸が蓄積した状態=疲労状態」とは言えなくはないのですが「乳酸=疲労をもたらす物質」ではないということです。
よく指導中にしっかりとトレーニングができたお客様に対し「乳酸溜まってきましたね!」と声かけをすることはあるのですがその裏では「(でも乳酸は疲労物質じゃないけどね!)」と心の中で呟いていたりします。(水素発生してきましたね、じゃ伝わらないだろうし、いちいち説明するのもめんどくさいし…すみません)
乳酸が及ぼすトレーニング効果
ミトコンドリアの増加
乳酸が蓄積するトレーニングを継続することでミトコンドリアが増加します。
ミトコンドリアはエネルギー製造工場のような細胞で、糖や脂肪を原料にATPを産生します。ミトコンドリアが増加することで発生した乳酸を速やかにエネルギーに変えることが可能となり、より効率的なエネルギー供給が可能となります。マラソンランナーや水泳選手、格闘系協議の選手などはこの能力が向上することで競技パフォーマンスが大きく改善する可能性があります。
成長ホルモンの分泌
体内に大量に乳酸が発生することで成長ホルモンの分泌が促進されます。
成長ホルモンが分泌されることで以下のような効果が期待できます。
・筋肉や皮膚の成長促進
・骨の成長、強化
・代謝改善
・脂肪の分解促進
・血圧の安定
・免疫力の向上
ボディメイク・美容・健康面すべての面で大きく貢献してくれるスーパーホルモンです。
乳酸が発生することで得られる効果はダイエットを強力にサポートしてくれます。
乳酸が溜まるトレーニングははっきり言ってめちゃくちゃしんどいものですが、乗り越えた先にある素敵な未来のために歯を食いしばって頑張りましょう(笑)
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